浜村拓夫(・∀・)作品集

頭の中にあるイメージを表現できるデザイン力が欲しいです(><)

マインドセット 「やればできる!」の研究

「やる気」について、とても参考になる本がありました。

『マインドセット 「やればできる!」の研究』という本です。

 

  • マインドセット(心のあり方)には、「しなやか」と「硬直」の2つがある
  • 失敗から学び成長することが成功とみなす「しなやか」なマインドセットが良い

 

マインドセット「やればできる! 」の研究

マインドセット「やればできる! 」の研究

 

 

●マインドセットとは?

最近、「マインドセット」という言葉をよく目にしますが、どういう意味の単語でしょうか?

マインドセット - Google 検索

マインドセット(まいんどせっと)とは - コトバンク

ものの見方。物事を判断したり行動したりする際に基準とする考え方

 

ありていに言えば、「ものの見方」「考え方」という意味なんですね。

 

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(via Lack of gatekeepers leads to flood of entertainment news-SSCP

 

●概要

マインドセット ――「やればできる!」の研究 | 話題の本 | 書籍案内 | 草思社

「成功心理学」の古典的名著、新装完全版で登場!

 同じような能力を持っていても、一度の失敗で諦めてしまう人と、失敗の原因を究明して次につなげる人がいる。一度の成功体験にとらわれて次につなげられない一発屋の人と、何度も成果を達成できる人がいる。問題がむずかしいとやりたがらない子、むずかしい問題ほど目を輝かせる子がいる。

 それらの違いは? 本書によれば、心のあり方(マインドセット=mindset)にあります。

 本書は、マインドセットのパイオニアとして知られるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士による世界的ベストセラー“MINDSET”の新装版。

 

しなやかマインドセットvs.硬直マインドセット

 著者のドゥエック博士は、教育心理学者として、能力は同じでも結果に差が開いてしまう子がいるのは、なぜなのか、という疑問から20年以上にわたり調査・研究を重ね、人間のマインドセットには「しなやかマインドセット(=growth mindset)」vs「硬直マインドセット(=fixed mindset)」の2種類があることをつきとめました。

 そして、学業、芸術、ビジネス、スポーツ、恋愛、人間関係など、あらゆることで成果を出せるかどうかは、「その人の心の持ちよう、すなわち、マインドセットがしなやかであるかどうかで決まる」と結論づけたのです。

 昨今、教育の世界では、IQ(知能指数)に代表される認知的特性よりも、レジリエンス(逆境力)や粘り強さといった非認知的特性が重視されていますが、本書はその重要性を認識させるきっかけをつくった作品の1つでもあります。

 

「がむしゃらな努力」は硬直マインドセットの典型

 本書に一貫して流れるのは、「マインドセットは自分しだいでいつでも変えられる。やればできる!」というドゥエック博士の信念とも言うべきメッセージ。と同時に、博士は、がむしゃらな努力を続けることの無意味さも強調します。失敗の原因に向き合うことなく、ガンバリズムだけで無茶な努力をすることは、しなやかマインドセットとは対極にある硬直マインドセットの証左と言い切ります。読み進めるうちに、成功や失敗の意味だけでなく、努力の位置づけも変わって見えてくることでしょう。

 分野、テーマごとに「しなやか」と「硬直」という2つのマインドセットを著名人の具体例も交えて、わかりやすく対比させる構成の本書ですが、章末にはマインドセットをしなやかにするためのエクササイズも紹介されています。読んだその日から、ご自分のマインドセットについて捉えなおす機会を与えてくれることは間違いありません。

 

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(via 忍耐力、やる気をなくす罠、グロース・マインドセットの維持について

 

●目次

はじめに

 

第1章 マインドセットとは何か

  なぜ人間は1人ひとり違うのか
  あなたのマインドセットはどちら?
  同じ出来事なのに結末が大きく異なる
  自己洞察力 ― 自分の長所と限界を把握しているのは?
  自分のマインドセットを知ろう

 

第2章 マインドセットでここまで違う

  新しいことを学べたら成功か、賢さを証明できたら成功か
  マインドセットが変われば努力の意味も変わる
  ほんとうに恐ろしいのはどちらか
  マインドセットにまつわる疑問に答えます

 

第3章 能力と実績のウソホント

  マインドセットは成績に影響する
  芸術的才能は天賦のものか?
  危険なほめ方 ― 優秀というレッテルの落とし穴
  ネガティブなレッテルほど強くはびこる

 

第4章 スポーツ ― チャンピオンのマインドセット

  素質 ― 目に見えるものと見えないもの
  キャラクター ― 品格・気骨・人となり
  成功とは勝つことか、最前を尽くすことか
  失敗したらどうするか?
  成功に責任を持つ
  真のスター選手に共通する語り方とは?

 

第5章 ビジネス ― マインドセットとリーダーシップ

  成長する企業と経営の意思決定
  リーダーシップと硬直マインドセット
  硬直マインドセットの有名経営者
  しなやかマインドセットの有名経営者
  集団浅慮 VS みんなが考える
  リーダーは生まれつきか、努力のたまものか

 

第6章 つきあい ― 対人関係のマインドセット

  対人関係の能力とは?
  恋愛こそマインドセットしだいで変わる?
  すべてを相手のせいにしてしまう人たち
  夫婦関係や友だちづきあいから成長する
  内気なマインドセット
  いじめと復讐

 

第7章 教育 ― マインドセットを培う

  知っておきたい成功・失敗のメッセージ
  優れた教師・親とは
  しなやかマインドセットの教師はどんな人か

 

第8章 マインドセットをしなやかにしよう

  「変わる」とは、どういうことか?
  マインドセットをしなやかにするワークショップ
  「変わる」ことを恐れない
  変わろうとしない人たち
  わが子のマインドセットをしなやかにしよう
  マインドセットと意志力

 

推奨図書一覧

 

●著者紹介

キャロル・S・ドゥエック

スタンフォード大学心理学教授。

パーソナリティ、社会心理学発達心理学における世界的な権威。

イエール大学で心理学博士号(Ph.D.)を取得後、コロンビア大学ハーバード大学で教鞭を執り、現在に至る。

人間の思考様式への関心は、30年来で、モチベーション、人間関係、メンタルヘルスに関する研究で大きな業績を上げてきた。

 

Carol Dweck - Wikipedia

Carol S. Dweck (born October 17, 1946) is the Lewis and Virginia Eaton Professor of Psychology at Stanford University.

Dweck is known for her work on the mindset psychological trait.

 

Carol Dweck | Department of Psychology | Stanford University

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キャロル・S・ドゥエックさんは、TEDで講演されていました。

 

キャロル・ドウェック: 必ずできる!― 未来を信じる 「脳の力」 ― | TED Talk | TED.com

 

●読書メモ

(p.3) はじめに

 私の研究テーマは、人間の信念の力を証明するという心理学の伝統的テーマのひとつである。人間の信念は、本人が意識しているといないとにかかわらず、その人がどんなことを望むか、そして、その望みがかなうかどうかに大きく影響する。また、信念を変えることは――それがどれほど単純な信念であれ――甚大な効果をもたらすことが、すでに実証されている。

 本書を読まれれば、自分についてのある単純な信念――私たちの研究で発見された信念――が人生をどれほど大きく左右しているかがおわかりになるだろう。その信念は、人生のありとあらゆる部分にまで浸透している。自分の性格パーソナリティ だと思っているものの多くが、じつはこの 心のあり方 マインドセット (=mindset)の産物なのである。あなたがもし可能性を発揮できずにいるとしたら、その原因の多くは、“マインドセット”にあると言ってよい。

 

  • 「性格」(パーソナリティー)は、「心のあり方」(マインドセット)の産物

 

(p.9) 第1章 マインドセットとは何か

知的能力や人間的資質は磨いて伸ばせるものなのか、それとも、どうにも変えようのないものなのか。

 

 知能研究の大家、ロバート・スターンバーグによると、高度な専門性を身につけられるかどうかの最大の決め手は、「あらかじめ備わった固定的な能力にではなく、目的に即してどこまで能力を伸ばしていけるかにある」という。

 

 自分の能力は石版に刻まれたように 固定的 フィックスト で変わらないと信じている人――「 硬直 こうちょく マインドセット= fixed mindset フィックスト マインドセット 」の人――は、自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない。

 

 しなやかな心の持ち方、「しなやかマインドセット= growth mindset グロース マインドセット

その根底にあるのは、人間の基本的資質は努力しだいで 伸ばすこと グロース ができるという信念だ。

 持って生まれた才能、適性、興味、気質は1人ひとり異なるが、努力と経験を重ねることで、だれでもみな大きく伸びていけるという信念である。

 

 思いどおりにいかなくても、いや、うまくいかないときにこそ、粘りづよく頑張りを見せるのが「しなやかマインドセット」の特徴だ。人生の試練を乗り越える力を与えてくれるのは、このマインドセットなのである。

 

  • 硬直マインドセット fixed mindset
  • しなやかマインドセット growth mindset

 

思考スタイル―能力を生かすもの

思考スタイル―能力を生かすもの

 

 

(p.23) 第2章 マインドセットでここまで違う

 マインドセットのことがわかりはじめると、新しい世界が開けてくる。能力を固定的にとらえる世界では、自分の賢さや才能を証明できれば成功、自分の価値を確認できればそれが成功だ。一方、能力を伸ばせるものと考える世界では、頑張って新しいことを習得できれば成功。自分を成長させることができれば成功なのだ。

 能力を固定的に考える世界では、つまずいたらそれでもう失敗。落第点を取る、試合に負ける、会社をクビになる、人から拒絶される――そうしたことはすべて、頭が悪くて才能がない証拠だ。それに対し、能力は伸ばせると考える世界では、成長できなければ失敗。自分が大切だと思うものを追及しないこと、可能性を十分に発揮できないことこそが失敗となる。

 能力を固定的に見る世界では、努力は忌まわしいことである。挫折と同様に、頭が悪くて能力に欠ける証拠だからである。頭が良くて才能があれば、そもそも努力をする必要などない。それに対し、能力を伸ばせると考える世界では、努力こそが人を賢く、有能にしてくれる。

 どちらを選ぶかは、あなたしだい。マインドセットは信念に過ぎない。強いパワーを持つ信念だが、結局のところ心の持ちようであり、それを変える力はあなた自身が握っている。ぜひ本書を読みながら考えてみてほしい。あなたはどちらの世界に生きたいと思うか。そのためにはどちらのマインドセットを選べばよいだろうか。

 

  • 硬直マインドセット → 能力を固定的に考える世界 → 努力は無駄
  • しなやかマインドセット → 能力を伸ばせると考える世界 → 努力は有効

 

(p.93) 第3章 能力と実績のウソホント

危険なほめ方――優秀というレッテルの落とし穴

 

 思春期初期の子どもたち数百人を対象に実験を行った。まず生徒全員に、非言語式知能検査のかなり難しい問題を10題やらせた。ほとんどの生徒がまずまずの成績。終わった後でほめ言葉をかけた。

 ほめるにあたっては生徒を2つのグループに分け、一方のグループではその子の能力をほめた。「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頭がいいのね」といったぐあい。そう言われた子どもたちは、アダム・ゲッテルと同じく、有能というレッテルを貼られたことになる。

 もう一方のグループでは、その子の努力をほめた。「まあ、8問正解よ。よくできたわ。頑張ったのね」といったぐあい。自分には何か優れた才能があると思わせないように、問題を解く努力をしたことだけをほめるようにした。

 グループ分けをした時点では、両グループの成績はまったく等しかった。ところが、ほめるという行為をおこなった直後から、両グループの間に差が出はじめた。懸念されたとおり、能力をほめられた生徒たち(〈能力群〉と呼ぶことにする)はたちまち、硬直マインドセットの行動を示すようになったのだ。次に取り組む問題を選ばせると、新しい問題にチャレンジするのを避けて、せっかくの学べるチャンスを逃してしまった。ボロを出して自分の能力が疑われるかもしれないことは、いっさいやりたがらなくなったのである。

 努力をほめられた生徒たち(〈努力群〉と呼ぶことにする)は、その9割が、新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃さなかった。

 次に、生徒全員になかなか解けない問題を出した。〈能力群〉の生徒たちは、自分はちっとも頭が良くないと思うようになった。頭が良いから問題が解けたのだとすれば、解けないのは頭が悪いからということになる。

 〈努力群〉の生徒たちは、当然のように、なかなか解けないのだから「もっと頑張らなくちゃ」と考えた。解けないことを失敗と思わず、自分の頭が悪いからとも考えなかった。

 ところで、生徒たちは問題を解くことを楽しいと感じていただろうか。問題がうまく解けたあとは、全員楽しいと答えたが、難問を出されたあと、〈能力群〉の生徒たちは面白くないと答えるようになった。自分は頭が良いという評価が崩壊の危機に瀕しているときに、どうして楽しいなんて思えるだろうか。

 〈努力群〉の生徒たちは、難問を出されてもいやになったりせず、むしろ難しい問題の方が面白いと答える子が多かった。

 では、問題の出来はどうだったろうか。難問が出されてから、〈能力群〉の生徒の出来はガクンと落ち、その後ふたたびやさしい問題が出されても成績は回復しなかった。自分の能力に自信が持てなくなり、スタート時よりもさらに成績が落ちてしまったのだ。一方、〈努力群〉の生徒の出来はどんどん良くなっていった。難問に挑戦したことでスキルに磨きがかかり、その後ふたたびやさしい問題が出されたときにはすらすら解けるようになっていた。

 この調査は知能検査の問題を用いて行っているので、能力をほめると生徒の知能が下がり努力をほめると生徒の知能が上がったことになる。

 

  • 能力=結果を重視 → 硬直マインドセット → 知能が下がる
  • 努力=結果に至る過程を重視 → しなやかマインドセット → 知能が上がる

 

興味深いメカニズム、考察ですね!

 

(p.201) 第5章 ビジネス ― マインドセットとリーダーシップ

集団浅慮 VS みんなが考える

 

 ロバート・ウッドの研究を紹介したが、彼らのおこなったもう一つの研究も興味深い。この研究では、3人1組のマネジメントグループを全部で30組ほど作った。そのうち半分は、3人全員が硬直マインドセットのグループ、残り半版は、3人全員がしなかやマインドセットのグループだった。

 硬直マインドセットの人が「マネジメント能力は一定で、あまり伸ばすことはできない」と信じているのに対し、しなやかマインドセットの人は「マネジメント能力はいつでもかなり伸ばすことができる」と信じている。したがって、全社が「マネジメント能力が有る人は有るし、無い人は無い」と考えるのに対し、後者は「経験を活かせばマネジメント能力を伸ばすことができる」と考える。

 

 どのような決定を下すかを話しあうとき、しなやかグループのメンバーの方がはるかに率直に自分の意見を述べ、ためらうことなく反対意見を表明した。グループの全員に人の意見から学ぼうという姿勢が見られた。それに対し、硬直グル―プでは、自分と相手とではどちらが頭が良いかを気にしたり、アイデアを出しても叩かれるのではないかと恐れたりして、そのような率直で、実りある議論は生まれなかった。 集団浅慮 しゅうだんせんりょ にも似た状態に陥っていた。

 「集団浅慮」という言葉は1970年代の初めに、アーヴィング・ジャニスが広めた。集団浅慮とは、集団の全員が同じ考え方をするようになって、異論を唱える者や批判的な立場を取る者がいなくなり、その結果として、集団が非常に危険な意思決定を下してしまう現象をいう。

 ウッドの研究からわかるように、それは硬直マインドセットのせいである場合が少なくない。

 人びとが天才的な指導者を盲目的に信じるようになると、集団浅慮に陥る可能性がでてくる。米国のビッグズ湾侵略(キューバを侵略し、カストロ政権を倒そうとして失敗に終わった秘密計画)は、集団浅慮が招いたものと言える。明敏な頭脳を持つケネディ大統領たちが、このときに限って思考停止に陥ってしまったのだ。なぜだろう。あのケネディがやることならうまくいかないはずがないと、全員が信じこんだからである。

 

 硬直マインドセットには集団浅慮を招く要因がそろっている。たとえば、リーダーは絶対に過ちを犯さない神様だと思われている。集団のメンバーが自分たちには特別な才能や権力があると思っている。リーダーが自分のエゴを通すために反対意見を押え込んでしまう。リーダーに認めてもらいたくて全員がリーダーになびいてしまう、といったぐあいである。

 したがって、重要な決定を下すときには、どうしてもマインドセットをしなやかにしておく必要がある。ロバート・ウッドの研究で明らかになったように、マインドセットをしなやかにして、能力は一定で、伸ばすことはできないという幻想や重荷から解放されれば情報をフルに活用して、オープンな議論を交わし、より適切な意思決定ができるようになる。

 

  • 硬直マインドセットは、集団浅慮に陥る。
  • しなやかマインドセットは、より適切な意思決定ができる。

 

集団思考 - Wikipedia

集団思考groupthink)とは、集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されること、あるいはそれにつながる意思決定パターン。

そのまま「グループシンク」ということもある。集団浅慮と訳されることもある。

いわゆるデマや流言、インターネットから発生する幼稚な自己表現などがここから発生すると見る向きもある。

 

(p.236) 第6章 つきあい ― 対人関係のマインドセット

 

内気なマインドセット

 

 マインドセットは内気さとどう関係するのだろうか。ジェニファー・ビアは何百人もを対象に調査を行った。まず、1人ひとりのマインドセットと内気度を調べてから、その人たちを2人ずつ対面させたのである。そのときの一部始終を録画しておき、あとから、訓練を受けた評価者がそれを観察して、どのような相互作用がなされたかをチェックした。

 この研究でまずわかったのは、硬直マインドセットの人の方が内気になりやすいということだった。それは理屈に合っている。硬直マインドセットの人は、他人の評価を気にするので、自意識が過剰となり、それだけ不安も強くなるからである。しかしながら、どちらのマインドセットにも内気な人は大勢おり、もっとくわしく調べると、さらに興味深いことが明らかになったのである。

 内気な性格が人づきあいの妨げになったのは、硬直マインドセットの人の場合だけだった。しなやかマインドセットの人たちは、内気であってもそれが人間関係の妨げになることはなかった。観察者の評価によると、内気な人たちは、いずれのマインドセットであっても、最初の5分間はとても不安そうな様子を見せた。ところがそれから後、しなやかマインドセットの人は優れたソーシャルスキルを発揮して、楽しい交流を行うことができた。もうそうなると内気とは思えなかった。

 このような結果になったのは当然と言える。内気でもマインドセットがしなやかな人は、人との交わりをチャレンジと受け止め、不安は感じはしても、初対面の人との出会いを積極的に受け入れた。それに対して、内気でしかもマインドセットが硬直している人は、ソーシャルスキルが自分より長けていそうな人との接触を避けようとした。何かへまをやらかすのではという不安が先に立ってしまうのである。

 このように、硬直マインドセットの人としなやかマインドセットの人とでは、苦手な場面に臨む姿勢がまるで異なっていた。しなやかな人たちは前向きにチャレンジしたが、こちこちに硬直した人たちは失敗を恐れて尻込みした。

 

  • 硬直マインドセットの人は、内気で失敗を恐れる。
  • しなやかマインドセットの人は、内気でも前向きにチャレンジする。

 

(p.242)

いじめと復讐

 

 人をいじめるという行為は、硬直マインドセットと大いに関係がある。いじめの根っこにあるのは、人間には優れた者と劣った者がいるという考え方なのだ。いじめの加害者は、劣った人間だと評価した相手をいじめの標的にする。

 

  • 硬直マインドセットの人は、人間の優劣を固定的にとらえて、いじめ(マウンティング)を行いがち。

 

(p.284) 第7章 教育 ― マインドセットを培う

優れた教師のやり方

 

 優れた教師は、知力や才能は伸ばせると信じており、学ぶプロセスを大切にする。

 

(p.302) 第8章 マインドセットをしなやかにしよう

 しなやかなマインドセットの根底にあるのは、「人は変われる」という信念である。ちなみに、マインドセットについて研究する醍醐味はなんといっても、人間が成長し変化していく様子を目の当たりにできることだと思う。

 自分が価値を置くものに向かってこつこつ努力する姿ほど素晴らしいものはない。

 

「変わる」とは、どういうことか?

 

「変わる」といっても、外科手術を受けたように変わるわけではない。たしかに変化は起きていても、摩耗した膝や腰の関節を新しいものと取り替えるように、古い信念がすぐに一掃されるわけではない。古い信念がまだ残っているところに、新しい信念の芽が生え、それがだんだんと強くなるにつれて、今までとは違った考え方や感じ方、ふるまい方ができるようになるのである。

 

(p.304)

 意識しているといないとにかかわらず、人間はみな、自分の身に今何が起きているのか、それはどういうことを意味するのか、自分はこれからどうすべきなのかをつねに考え続けている。言いかえると、私たちは絶えず心の中でモニタリングと解釈を行っているのである。そのおかげで自分を見失わずにいられるのだが、ときとして解釈がおかしな方向に進んでしまうことがある。今起きていることの意味をあまりにも極端に解釈する人は、必要以上に不安や抑うつや怒りの感情をつのらせたり、誤った優越感を抱いたりするはめになる。

 

解釈を導くマインドセット

 頭の中にあるチェックシートの枠組みを形作っているのがマインドセットである、それが解釈全体を一定の方向に導いてゆく。マインドセットが硬直していると、内なる声は自分や他人の品定めばかりするようになる。「これは私が敗北者だということだ」「これは私がみんなよりも優れているということだ」「これはぼくが悪い夫だということだ」「これはパートナーが身勝手な人間ということだ」といったぐあいに。

 硬直マインドセットの人が、受けとった情報をどのように解釈するか調べてみたところ、どんな情報に対しても逐一、極端な評価を下していることが明らかになった。良いことが起こると、過度にポジティブなレッテルを貼ってしまうし、逆に、悪いことが起こると、過度にネガティブなレッテルを貼ってしまうのである。

 しなやかマインドセットの人も、身に起こることを絶えずモニタリングしている点に変わりはないのだが、内なる対話で問題にするのは、そのような自分や他人の評価ではない。情報がポジティブなものか、ネガティブなものかということも敏感にとらえてはいるが、関心の中心はあくまでも学習や建設的行動に向けられている。この体験から何かを学びとることができるか。どうすれば自分を向上させることができるか。どんなふうに手助けしたらパートナーがもっと良くなってくれるか、など。

 

(p.312)

知能と言うと、人間には頭の良い人、普通の人、悪い人がいて、一生そのままだと思っている人が大勢いますが、最近の研究でそうではないことがわかってきました。脳は、筋肉と同じく、使えば使うほど性能がアップするのです。新しいことを学ぶと脳が成長して、頭が良くなっていくことが科学的に証明されています。

 

あなたは自分の脳の世話係なのよ。正しい使い方をすれば、脳の成長を助けてやることができるわ」。

 

マインドセットのワークショップに参加した生徒たちには、自分の脳は自分で作っていくものなのだという気持ちを植えつけた。そうして、硬直マインドセットの呪縛から解き放たれたおかげで、ジミーのような子どもたちは、自分の頭脳の力をもっと自由に、そして十分に発揮できるようになったのである。

 

(p.316)

対話型プログラム「ブレイノロジー」

 このワークショップの難点は、スタッフにかなりの人数が必要で、多数の生徒を対象に実施するのがむずかしいということだった。生徒の学習をサポートしていくという重要な任務のある先生方に、ワークショップまで受けもっていただくわけないはいかない。そこで私たちは、このワークショップを対話型のコンピュータープログラムに組みこみ、それに従って先生方に授業を進めてもらってはどうかと考えた。

 そして、教育、メディア、脳科学の専門家の助言を得て開発したのが「ブレイノロジー」プログラムである。アニメ仕立てになっていて、クリスとダリアという2人の中学1年生が主人公として登場する。

この2人がちょっと風変わりな脳科学者、セレブラス博士の研究室を訪ねて、脳のしくみやそのケアの仕方についていろいろ教わるという設定である。どうすれば脳の力を最大限まで高められるか(十分な睡眠、きちんとした食事、適切な勉強方法など)、また学習によって脳がどれほど成長するかを教わる。

 

  • しなやかマインドセットを学校で使うために、「ブレイノロジー」というプログラムが開発された。

 

Brainology - Google 検索

 

www.mindsetworks.com

 

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(p.345)

 人のマインドセットは、小手先のテクニックで変えられるようなものではない。マインドセットが変化するということは、ものごとの見方が根底から変化することなのだ。マインドセットがしなやかになると、夫婦、コーチとアスリート、上司と部下、親子、教師と生徒といった人間関係のあり方が変わってくる。評価する者と評価を下される者という関係から、学ぶ者と学びを助ける者という関係に変わってくるのである。そして、成長という共通の目標をめざすようになるが、成長するためには十分な時間と努力と支えあいがどうしても欠かせない。

 

自分も学びつつ、学ぶ人を応援する

 自分が成長するチャンスも、大切な人の成長をうながすチャンスも日々の暮らしの中にある。どうすればそのようなチャンスを逃さないように心がけていられるだろうか。毎朝、1日がスタートするとき、自分にこう問いかけよう(紙に書いて鏡に貼っておくとよい)。

 

 今日は、自分にとって、周囲の人にとって、どんな学習と成長のチャンスがあるだろうか?

 

 そして、チャンスを見つけたら、それを実行する計画を立て、次のように問いかける。

 

 いつ、どこで、どのように実行しようか?

 

 いつ、どこで、どのようにと考えることで計画が具体的なものになる。どうすればうまく実行できるか、順を追って思い描いてみるとよい。

 当然、障害に突き当たる。失敗したら、計画を立て直して、次のように問いかけよう。

 

 いつ、どこで、どのように新たな計画を実行しようか?

 

 どんなに落ちこんでいても、行動に移すことが肝心!(これも貼っておこう)

 そして、うまくいったら、次のように自問するのを忘れないこと。

 

 逆戻りせずに進歩を続けていくためには、どんなことをする必要があるだろうか?

 

 偉大な野球選手、アレックス・ロドリゲスが言うように、「上り坂か、下り坂か、道はふたつにひとつ」。

 どちらの道を行くかは、あなた次第なのだ。

 

●まとめ

 私は要領が悪い人間なので、改善の一助として、他人の考え方ややり方を参考にするようにしています。

 自分の行動パターンを鑑みると、よく「面倒くさい」という気持ち(怠惰さ)が行動のブレーキになっており、この欠点を解消する方法を模索しています。

 

hamamuratakuo.hatenablog.com

 

 「面倒くさい」というブレーキを解消するために、この本で紹介されていた「マインドセット」という考え方が、とても参考になりました。

 硬直マインドセットには、心当たりがあり過ぎるので(笑)、しなやかマインドセットに切り替えられるようにしたいです。

 この本には、参考になる内容が多々あったので、また読み返してみたいと思います。

 

 

 

globe / Feel Like dance

いつの頃か あきらめかけた夢
まわりまわるチャンスが
味気ない程通りすぎてくよ

だけど明日を見て
生きてゆく為にはもう一度

Everybody dance,
Try to find where is the entrance