水彩色鉛筆の購入を検討して、選定基準を考察してみました。
●芯の硬度
水彩色鉛筆は、油性色鉛筆(いわゆる普通の色鉛筆)よりも、芯が柔らかいようです。
水彩色鉛筆はの芯は、「硬め」「普通」「柔らかめ」という具合に、ざっくり3段階ぐらいに分類されているようです。
・柔らかい芯 → 色が塗りやすい=発色が鮮やか。
・硬い芯 → 線を描いたり、細部を塗りやすい。
柔らかい方が塗りやすいので、使いやすいようにかんじました。
<柔らかめ>
・カランダッシュ(スイス)「スプラカラー ソフト」(全120色)
・三菱鉛筆(日本)「ユニ ウォーターカラー」(全60色)
<やや柔らかめ>
・ファーバーカステル(ドイツ)「アルブレヒト デューラー」(全123色)
・ターレンス(オランダ)「ヴァンゴッホ」(全60色)
<普通>
・ステッドラー(ドイツ)「カラト アクェレル」(全60色)
<硬め>
・カランダッシュ(スイス)「プリズマロ」(全80色)
硬さと描きやすさのバランスの良さで、
・カランダッシュの「スプラカラー ソフト」、
・ステッドラーの「カラト アクェレル」、
あたりが良いと思いました。
あまり柔らかすぎると、すぐに色が濃くなってしまい、濃淡が付けづらいかも?
→筆圧を弱くして、ちょっとずつ塗れば良いだけかもしれませんが。
●水溶性(にじみやすさ)
水で溶かしたとき、どれぐらい伸びるか、色が混ざりやすいか?
水に溶けにくいと、あまり絵の具っぽい表現ができないでしょう。
ダーウェント(イギリス)の「インクテンス」は、水で溶かすと、インクのように綺麗な発色をするそうです。
他にはない、透明感のある美しい発色の色鉛筆
全72色
◇水に溶けるとカラーインクのような透明で鮮やかな色合いに変化します。
◇乾くと耐水性になり、他の色を重ねても下の色が溶け出す事はありません。
自分で水彩色鉛筆の色見本帳を作り、水に溶かしたときの色を確認すると便利です。
(参考)*** Calligraphy & PaperCrafts Life *** 水彩色鉛筆
ファーバーカステルの色鉛筆はいわずと知れたすばらしい色鉛筆。
発色も穏やかできれいで、水筆での水とけもいいのでとても使いやすいです。
インクテンスは、ファーバーカステルのものとかなり性質がちがっています。
発色はとても鮮やかで、水筆で溶かすとインクのような発色になります。
ただ、ファーバーカステルほど水とけがよくないので、色鉛筆の線が若干残ります。
・ファーバーカステルの色見本(上段:着色のみ、下段:水で溶かした)
・インクテンスの色見本(上段:着色のみ、下段:水で溶かした)
あきらかにインクテンスは色鉛筆の線が残っています。
ただほんとうにインクのように発色がいいので、色鮮やかに仕上げたいときに重宝しますし、乾いたら耐水になるというのは、カリグラフィーの下地として使うときにとても便利です。
インクテンスで着色した上から、その下地の絵をにじませることなく、カリグラフィーの文字を書き加えることができたりして、とても相性のいい水彩色鉛筆なのです。
一般的に、柔らかい芯の水彩色鉛筆は、水で溶かしたときの伸びも良いようです。
●乾燥時の色
水彩色鉛筆は、水で溶かして使うこともできますが、水を付けずに単なる色鉛筆として使うこともできます。
水を付けない=乾燥させたまま使った場合、紙に乗る色、発色の良さも、チェックしてみるべきでしょう。
(参考)水彩色鉛筆のレビューまとめ | noguchan's blog - Photo's LIFE
[ドイツ] 全120色 芯径:3.85ミリ 定価¥315
○特徴: プロの要望に応える、最高級色鉛筆。
○柔らかさ: "5"(とても柔らかい)。
○書き味: しんなり、しっとりで、滑らない書き味は特筆もの。更にこの鉛筆の素晴らしいのは、発色が鮮やかなこと。
○総合評価: "5"(特にお勧めできます)。書き味、発色とも素晴らしい。一度使ったら、他の色鉛筆には戻れないほど魅力を持った製品です。(※単価が高いが、うなずける品質です。)
三菱鉛筆 uni ウォーターカラー
[国産] 全36色 芯径:3.85ミリ 定価¥157
○特徴: 廉価版とは思えない発色で、さすがuniです。
○柔らかさ: "4.5"(とても柔らかい)。一部、色により硬めのひっかかる感触のものもあります。
○書き味: しっとりなめらかな書き味です。発色が明るめなので良い。若干、uni特有の滑る感じは残ります。
○総合評価: "5"(特にお勧めできます)。Web上での評価が皆無ですが、書き味もいいし、手頃な価格だし、uniの中では最高だと思っています。是非、使ってみてください。きっと驚きます。
STAEDTLER カラトアクェレル 125
[ドイツ] 全60色 芯径:2.9ミリ 定価¥189
○特徴: 見た目は製図用のイメージですが、なめらかです。
○柔らかさ: "3.5"(普通より柔らかい)。硬いイメージがありますが、それ程でもない。水彩では硬めの部類かもしれない。(エルゴソフト アクェレルより柔らかい。)
○書き味: なめらかで、線引きなどには向いている。発色はまあまあだが、柔らかくて明るい色です。クセのない色なので良い。
○総合評価: "4.5"(かなりお勧めできる)。芯が2.9ミリと細いが、素直な明るい発色なのでマーカー向き。イエローが出るのは珍しい。ブドウ色とか綺麗。硬めが好きな人には一押しです。
このブロガーさんの意見は、概ね同意。
詳しい方から、「三菱の水彩色鉛筆は、ファーバーカステルと似ている」(真似している)という意見も聞きました。
→三菱も悪くはないのでしょうが、色数が36色と少なめ?なので、そこがネックかも。
●色数
後から色を補充するとき、色数が多いシリーズの方が、選択肢が広がって良いでしょう。
水彩色鉛筆の色数について、様々なレビューを見てみると、
「少なくても良い」
「多い方が良い」
と、意見が分かれています。
<少ない派の主張>
「水で溶かして、色を混ぜれば、中間色を作れるので、12色、24色あれば十分」
<多い派の主張>
「水で溶かして色を混ぜても、出せない色もある。」
「水彩色鉛筆は、基本的に色を混ぜて使う画材ではなく、元々の色を活かして使うべきである」
少なくても良いという意見は、水彩色鉛筆に慣れている上級者が多いようです。
私は、多い派の意見に賛成です。
最初買うときは、色数が少ないセット(12色、24色、36色など)を買って、不足を感じたら後で追加する、という買い方・使い方でも良いでしょう。
ただ、鉛筆1本当たりの単価を計算すると、最初からたくさん入っているセットを買った方が、お値段はお得です。
●携帯性
たくさんの色鉛筆があると、結構かさばります。
・アトリエや屋内など、持ち運びせず、その場で使う前提なら、ケースや箱に入ったものを使えば良いと思います。
→120色セットなどをガッツリ使えばOK
・野外など、持ち出して使う前提なら、携帯性を重視して、コンパクトな方が良いかもしれませんね?
→36色セット程度で、丸い缶に入ったものとかもありますね。
気合を入れて運ぶなら、野外で120色セットとかもありだと思いますがwww
●まとめ
色鉛筆である以上、色が綺麗に塗れることが重要だと思います。
・乾燥時の発色=色鉛筆としての性能
・水溶性=水彩絵の具としての性能
この2点を左右する要素は、
・芯の硬さ
・色数の多さ
でしょうか?
それぞれの製品に特徴があるので、1つだけに絞り込むことが難しいです。
いっそのこと、全部買えれば良いのに!(><)
「下手の考え、休むに似たり」とも言いますから、考えても悩むだけで終わることもあるでしょう。
実際に使ってみて、自分に合う水彩色鉛筆を見つけて行きたいです。
→絵の描き方は、人それぞれだから、自分に合った色鉛筆が他人と違うのは当然かもね?
【追記】ファーバーカステル社のアルブレヒト デューラー60色セットを買いました。
Perfume / wonder2