イラストの本を見ていたら、安西水丸さんのイラスト集がありました。
安西 水丸(あんざい みずまる、本名:渡辺 昇(わたなべ のぼる)、1942年7月22日 - 2014年3月19日)は、日本のイラストレーター、漫画家、エッセイスト、作家、絵本作家。
1961年、日本大学豊山高等学校卒業。日本大学藝術学部美術学科造形コースに入学。
1965年、同大学を卒業。電通にアートディレクターとして就職。
1969年、同社を退社して渡米。現地でADアソシエイツ(N.Y.のデザインスタジオ)に就職。
1971年、帰国。平凡社のADとなり、そこで当時雑誌『太陽』の編集をしていた嵐山光三郎に誘われたのをきっかけに、デザイナーからイラストレーターへと転向。
ペンネームの「安西」は、嵐山から「あ」がつく名前がいいと言われ、祖母の苗字「安西」から取った。また「水丸」は、子どもの頃から「水」という漢字が好きだったことから。また、嵐山の紹介で、『ガロ』等で多数の漫画も発表していた。
安西水丸さんのイラストは、元祖「ヘタウマ」とも言われているらしくて、素朴なかんじがします。
最初見たとき、「え?こんな絵でいいの!?」ってぐらい、下手な絵だと思いましたが、それは単に自分の思い込み(観念)に過ぎなかったわけですね。
自分の中では、もっと絵が上手いと思える人はたくさんいます。
でも、彼らの全てがヒット作を作れるわけじゃありません。
つまり、万民受けするような絵を誰もが描けるわけじゃない、ということ。
絵にしても、僕よりうまい子はたくさんいて「うまいなあ」と感心したけど、自分の持っている感覚、ものの見方というのは誰にも真似できないだろうという気持ちがすごくありました。
僕がやっているイラストレーションというのは「絵」じゃないんですよ。小さいときから絵は好きだったけど、それは自分の気持ち、感情や思ったことを視覚的に表現したかったから。今も「絵」を描いているわけではなくて、依頼してくれた人の気持ちを自分の中でかみ砕いてビジュアライズしているという感じなんです。
絵はうまい方ではないですけど、うまい絵を描く人は世の中に腐るほどいますからね。ルーブル美術館で30分も過ごせば、ミケランジェロもいれば、ラファエロもいる。うまい絵を描くだけが勝負なら、たいていの人はもう絵なんて描けなくなりますよ。でも、そういうことではないと思うんです。魅力のある絵というのはうまいだけではなくて、やはりその人にしか描けない絵なんじゃないでしょうか。だから、そういうものを描いていきたいなと思います。
安西水丸さんのスゴイところは、普通なら「これは下手な絵だ」とか「笑われたら恥ずかしい」とか、余計なことを考えて公開しないところを、堂々と発表しちゃうところだと思いますw
→自分なら公表する気にはならないかも?
不遜ながら、同じモチーフで絵を描かせたら、「自分の方がもっとうまく描ける!」とも思いました。
でも絵の上手さとか、評価の基準はいくらでも交換可能なので、「自分の絵の方が他人よりも上手い」という評価は、厳密に言うと、自分が判断する場合にしか成立しないんですよね?(だから、不遜な気持ちが出てくるとw)
「こんな下手な絵を公開しても全然恥ずかしくないなら、自分も恥じる必要は全くない。」という考えが芽生えてきます。
安西水丸さんの絵を見ると、「自分ももっとできるはずだ!」と勇気付けられます。
まあでも、こういうプロの人って作風は一見ヘタウマに見えても、絵の基礎練習はちゃんとやっていて、本気を出したらデッサンとかとても上手い人が多いです。
安西水丸さんは、美術学科を専攻しているから基本はやってるはずでしょう。
グチャグチャな抽象画を描くピカソも、デッサンはめちゃくちゃうまかった人です。
その上で、自分が作りたいと思う作品を追求したら、写実的な作品ではなく、抽象的になったり、素朴なヘタウマ路線になったり、いろいろな作風になっていくんだと思います。
単なる写実的な能力を絵の上手さの基準にしたら、人間は現代のカメラに勝てません。
だから、絵の上手い下手なんて、一概に断定できるものではないんですよね?
自分の絵が上手いとか下手という自分の判断すらも相対的なものであり、一過性のものに過ぎないと。
安西水丸さんのイラスト
不思議なもので、安西水丸さんの作品はずっと見ていると、そのうち何だかうまく見えてきます。
素朴だけど、無駄がなくて、ミニマルなデザインであり、「シンプルな線画で物事の本質を描こうとしている」という作者の意図が想像できます。
色の組み合わせなんか、落ち着きや安らぎを感じさせて、「いいなー」と思います。
同じ絵を描いてみろ!って言われたら、やっぱ自分では描けないですね。
=似たような絵は描けても、同じ絵にはならない。
もしも、安西水丸さんのファンの方がいたら「貶している?」と勘違いされないために、念のため申し添えておくと、彼の絵は味わい深い絵であり、上手いか下手かで言ったら、「上手い」の方でしょう。
でなかったら、わざわざブログに書き留めることもないですからね。
こういう方向性の作風もあるのだと理解して、自分の作りたい作品に集中していきたいと思います。