「Ableton Liveによるトラックメイキング」の第5章「Electronicaトラックの制作」を読んでみます。
「ELECTRONICA」というジャンルは、どんな音楽なのでしょうか?
エレクトロニカとは?
エレクトロニカ(Electronica)とは、電子音楽や、電子音楽に影響を受けている音楽全般を包括的に表す言葉。
Warp Recordsからリリースしているアーティスト(特にAphex TwinやAutechre)が切り開いた領域を(意図的であるどうかは別として)ルーツに持つエレクトロニック・ミュージック
あえて言うと以下の特徴がある。
- エレクトロニクスを前面に打ち出す
- ダンスフロアでの使用を前提としない
- 独特な音色、リズム、曲の構成である
エレクトロニカは、ダンスフロアでの使用を前提としていない電子音楽というのが、特徴みたいです。
エレクトロニカトラックの音作り
(p.88)
近代的な電子音楽を指すエレクトロニカは、音楽スタイルとしてはかなりの幅があります。
大別すると、クラブミュージックとしての踊れる音楽と、ダンスミュージックを意識しないIDM(インテリジェントダンスミュージック)です。
後者にも様々なタイプがあり、例えばBjörkの作品はダンスとは無縁のポップフィールドに位置するものですし、Aphex TwinやSquarepusherのような演奏を主体とするスタイルもあります。
他にはAutechreのようにエフェクターでサウンドを不自然なまでに加工するグリッチと呼ばれるス夕イルなどがあり、これら電子音楽を大きく括ってエレクトロニカと呼んでいます。
ノイズをリズムに採り入れたり、カットアップといったファイルを切り刻む手法は元々は実験的なアプローチとして認識されていましたが、Radioheadが「Kid A」を発表した2000年を境にエレクトロニカ的手法は完全にロック/ポップフィールドにまで波及しました。
ですので、このジャンルのサウンドメイキングを追求する意味はとても大きいでしょう。
ここではAphex Twinのようなパ夕ーンミュージックではない複雑なトラックを作る手法を解説していきます。
Electronicaの代表作
(p.89)
トラックメイカーが選ぶElectronicaの代表作
Aphex Twin / syro
13年のブランク経て放たれた、アナログサウンドと撤密なフレーズが織りなす唯一無二の世界。
Syro [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC444)
- アーティスト: APHEX TWIN,エイフェックス・ツイン
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / WARP RECORDS
- 発売日: 2014/09/24
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Squarepusher / Do You Know Squarepusher
息が詰まるほどに散りばめられた音の断片がひとつの大きな世界を作る繊細でイカれた作品。
Do You Know Squarepusher (2CD)
- アーティスト: Squarepusher
- 出版社/メーカー: WARP RECORDS
- 発売日: 2002/10/01
- メディア: CD
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Autechre / Untilted
これぞ電子音楽と呼びたくなる人間業を超えたアヴァンギャルドかつ狂気のグリッチ。
Untilted [帯解説付/ボーナストラック1曲収録/国内盤] (BRC122)
- アーティスト: オウテカ,Autechre
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS
- 発売日: 2005/04/09
- メディア: CD
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Four Tet / There Is Love In You
ヒップホップ/エレクトロニカのいいとこ取りをしたような湿っぽくポップな作品。
Acra / Xen
Björk、Kanye Westらがぞっこんになったべネズエラの若き鬼才。
新時代の幕開けか。
デジタル音源の欠点
電子楽器は、アナログとデジタルの2種類があります。
オシログラフ(電気信号の波形を観測する機械)で見ると、アナログは連続した波形で、デジタルはノコギリの刃のようにギザギザの形になります。
倍音(overtone、harmonics)とは、楽音の音高とされる周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分。1倍の音、すなわち楽音の音高とされる成分を基音と呼ぶ。
弦楽器や管楽器などの音を正弦波(サインウェーブ)成分の集合に分解すると、元の音と同じ高さの波の他に、その倍音が多数(理論的には無限個)現れる。
ただし、現実の音源の倍音は必ずしも厳密な整数倍ではなく、倍音ごとに高めであったり低めであったりするのが普通で、揺らいでいることも多い。
逆に、簡易な電子楽器の音のように完全に整数倍の成分だけの音は人工的な響きに感じられる。
アナログ音源をたくさん重ねると、ハーモニーが生まれ、綺麗な音になります。
デジタル音源をたくさん重ねると、ハーモニーがないので、汚い音になります。
これが、生の楽器を使うクラシック音楽と、デジタル(離散的な値)にサンプリングされている電子音楽の違いです。
デジタル音源の欠陥を改善するには、DAコンバーターでギザギザの波形を滑らかな波形に変換する処理が必要でしょう。
まとめ
エレクトロニカというジャンルの音楽は、おしなべて汚い音楽だと思いました。
工事現場から聞こえてくる騒音みたいな感じ?(言うよね~w)
これは単に「デジタル音源を多用しているから」という理由だけでなく、メロディー自体に問題があると思いました。
「蓼食う虫も好き好き」という諺もあるので、騒音のような音楽を好む人もいるのでしょう。
ホラー映画のサウンドトラックとかには向いているかな?
自分にはエレクトロニカは不要ですが、既成概念を打ち破る新しい音作りに挑戦する姿勢は見習いたいと思いました。
Ableton Liveによるトラックメイキング 基本から実践スキルまで
- 作者: 齊藤義典,横川理彦,KABEYAM,竹内一弘,Koyas,NAO,山道晃
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